ここまで各担当者目線で書いてきましたが、棚卸とは
“一定期間の在庫状況を整理し経営判断(社会的責任を含む)のためにも、在庫品目を評価しなおす作業“ であると考えております。
納品書をすべて正確に集計し、棚卸結果をまとめることで、その期間の「原価総額」を数字で知ることができ、「自社の一定期間の成績」を知ることになります。
作業をしても在庫を評価しなかったり、数字にまとめ、毎月の推移を比較しなくてはあまり必要とされない業務となってしまいますが、飲食業においては絶対に棚卸業務を行うべきであると考えております。
実際に私も以前、報告として上がってきた棚卸表の金額に違和感を感じ、店舗の在庫調査に行ったところ発注ミスで大量に納品された調味料等が出てきたことがありました。 (①仕入業務にて説明します)
また、劣化しにくいからとの理由で本来5月のゴールデンウィーク中に不足しない量だけ仕入るべき材料を、半年程度まかなえてしまうくらい大量発注していたケースもありました。 (②仕入業務にて説明します)
この二つのケースで重なる経営的な問題は運転資金が在庫に転嫁され、店舗内に長期間貯蔵される、つまりお金が倉庫に眠ってしまう事です。しかも発注されていますから支払いを先に行います。それでも在庫はまだまだ倉庫に眠っています。
全てを適切に使い切り「原価」として「販売商品」に転嫁できればまだいいのですが、一部使われずに廃棄せざる得ないほど品質が低下したものを使用されては衛生面での問題も発生します。
これを隠されてしまうと経営者としては資金の行方と社会的責任のリスクを負うことにもなります。
もし、あなたの所属する企業・店舗で不適切な食材利用をして営業していたら、自分のご家族・子供を安心して招くことが出来ますか?
また、顧客の喜びを得るために一生懸命販売業務に誇りをもって取り組めますか?
顧客は飲食店の商品を信頼して購入、消費します。
飲食業を営む店舗が棚卸を行うことは絶対必要である!ことがご理解頂けたではないでしょうか?
もし、経営的な助言をされている士業の方で、(飲食事業者に)棚卸は年一回でいいですよ!と言い切っている方がいれば、それはあなたの事業に対し真剣に向き合っていないことの証明だと私は考えます。
そして、適切に棚卸を継続して行くためには「発注業務」つまり「仕入」も重要です。
次回からは「仕入業務」について書き綴って参ります。
また、随時棚卸についてお伝えしきれて無かった事柄が見つかりましたら、都度掲載して参ります。
最近のコメント