棚卸業務②の続きになりますが、
孫子の兵法書の一説に「敵を知り、己を知れば 百戦危うからず」という言葉があります。
飲食店が企画や販促キャンペーンなどを仕掛け、①集客はあったが、利益は出なかった事や、そのキャンペーンが終了した際に②大量の在庫を抱えてしまった、というケースもあるのではないでしょうか?
本来このような時に月次決算をすると①・②とも営業利益が減少するはずですが、もし仮に②のケースで棚卸をしている場合は前回も記載した通り、
売上高 - (月初棚卸高 + 当月仕入高)- 月末棚卸高 = 粗利益(売上総利益)
となるので原価率だけは一時的によくなり、代わって月末棚卸高が大きく増加するでしょう!⇒ 失敗が決算書に在庫の増加として反映される!
しかし、棚卸をしていない場合は原価率が大きく悪化し(営業利益にも影響)翌月から数字の上ではもとに戻ってしまいます。
一見棚卸をしていない場合のほうが状況を正確に示したように書いてしまいましたが、現実的には「在庫」があるので、この在庫をどう再利用もしくは処分したかが営業利益に反映されない決算書になってしまいます。
最悪のケースであまり考えたくないですが、例を挙げますと「在庫」を従業員が勝手に横流しして代金を自分の財布に入れてしまってもわかりません!また在庫が大量に余っているからと常連客に無償で大量にサービスとして提供されてもわかりません!
これが繰り返し起きたら飲食店の決算書は隠し事だらけの信用の低い決算書になってしまいます。
また、それと同時に棚卸業務をやらない・やりたくない・しない理由は、
店舗内部の隠し事を表に出したくない = 経営者が己の「店舗」を知らない経営 となり
いつまでも自店舗の正確な実力が把握できない経営が続きます。
冒頭の「己を知る」に当てはまるといえるでしょうか?
このままで、販促キャンペーンを繰り返しても、棚卸をせずに「在庫」の実態を見過ごすわけですからおそらく「結果は上々なのに、資金(現預金)が足りないのはなぜ?」という経理と現場のギャップが生まれるはずです!
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